注文
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
注文(ちゅうもん/しるしぶみ)とは、日本の古文書の1つ。人名や物品の種類・数量を一つ書き形式で記したもの。主に依頼を受けて物事を調査する際に控えもしくは明細などの副進文書として作成されるもので、注進状と違い正式に提出されることを前提にした文書ではない。
中世に発達し、人名を記した「交名注文」や調達すべき物資の明細を記した「支度注文」、合戦時に負傷した者や負傷の状況を記した「合戦手負注文」、討ち取った敵の首について記した「分捕頸注文」などがあった。
後には動詞化して、特定の物品の調達を依頼する(結果として依頼した相手によって依頼に関する注文を作成される)ことを「注文する」と言うようになった。なお、注文を出すことを「発注(はっちゅう)する」、注文を受けることを「受注(じゅちゅう)する」という。
参考文献
- 高橋正彦「注文」(『国史大辞典 9』(吉川弘文館、1988年) ISBN 978-4-642-00509-8)
- 保立道久「注文」(『日本史大事典 4』(平凡社、1993年) ISBN 978-4-582-13104-8)