ナメクジ
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ナメクジ | ||||||||||||
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ファイル:Meghimatium fruhstorferi.JPG ナメクジ科の一種ヤマナメクジ Meghimatium fruhstorferi | ||||||||||||
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ナメクジ(蛞蝓)は、陸に生息する巻貝(軟体動物門腹足綱)のうち、殻が退化しているものの総称。またはナメクジ科の一種Meghimatium bilineatumの和名。
目次 |
分類と系統
総称としてのナメクジにはナメクジ科・コウラナメクジ科・オオコウラナメクジ科など数科のものが含まれる。これらは必ずしも同じ系統のものではなく、別系統のカタツムリからそれぞれ殻を失う方向へ進化したものである。
アシヒダナメクジ科など特殊なものを除けば、一般にナメクジと呼ばれるものは分類学的にはカタツムリと同じ有肺亜綱の柄眼目に属し、カタツムリの一種とも言える。カタツムリの貝殻が徐々に退化して小さくなり体内に入って見えなくなればナメクジの形になるが、実際にはその途中の形態をもつ種類もある。ヒラコウラベッコウガイは薄く平たい殻をもち、休止時には殻の大部分が見えてカタツムリのようだが、活発に活動している時には殻の大部分が周囲の肉(外套膜)に覆われ、ナメクジのようになる。またコウラナメクジ科のように薄い楕円形の殻が体内に埋もれているものや、ナメクジ科のように完全に殻が失われているものまで様々な段階がある。
このような貝殻の消失はさまざまな系統で起こっており、これを「ナメクジ化」(limacization)とも言う。海に棲む前鰓類のチチカケガイ科や後鰓類のウミウシ類もそれぞれ独自にナメクジ型に進化した巻貝と言える。ナメクジ化が起こる理由はかならずしも明らかではないが、殻を背負っているよりも運動が自由で、狭い空間なども利用できるメリットがある。地中でミミズ類を捕食するカサカムリナメクジ科では、その特異な捕食環境に適応した結果ナメクジ化したと見なすこともできる。
日本のナメクジ
人家周辺でよく見られるものはナメクジ(ナメクジ科)やチャコウラナメクジ(コウラナメクジ科)などである。後者はおよそ1970年代以降に見られるようになったヨーロッパ原産(恐らくはイベリア半島)とされる外来種で、人家周辺のほか農地や空き地など人為的影響の強い場所に生息し、作物や園芸植物に害を与えるため駆除の対象とされる。それ以前にはやはり外来種でコウラナメクジ科のキイロナメクジ(キイロコウラナメクジ)が人家周辺には多く、コウラナメクジといえばこちらの種を指すのが普通だった。住宅地などでチャコウラナメクジよりも巨大な姿で活動しているのを普通に見かけたものだが、それよりも小型のチャコウラナメクジの勢力の伸張と共に衰退し、今では見かけることは少なくなっている。
山野にはヤマナメクジという大型種がおり、体長は10cm以上にもなる。体は分厚く、触角は短い。沖縄の山地には別種ヤンバルヤマナメクジもいる。ヒラコウラベッコウガイは沖縄地方に見られる外来種で、退化しかけた薄く小さな殻があり、カタツムリとナメクジの中間的な形態を示す。やはり沖縄および熱帯地方に広く分布し、しばしば害虫とされるものにアシヒダナメクジがある。これは形はあまりナメクジらしくなく、平べったい楕円形で、表面は細かいつぶつぶになってあまり粘液を出さない。裏返すと体の下面に、体の幅より狭い脚がはっきりと区別でき、その前の端に口や触角がある。これはナメクジ類ではなく、イソアワモチに近縁のものである。
駆除
- ナメクジの体のほとんどは水分で構成されているため水分を失わせればすぐ死滅する。主なやり方としては塩をかけ浸透圧の関係で殺す方法や、炎天下のコンクリートなどの熱せられ乾燥した場所にナメクジを放置する方法、あるいはガスバーナーなどを利用し焼き殺す方法などがある。
- ナメクジ駆除剤(毒エサ、薬剤を散布するもの等)が市販されているので利用できる。
- ビールの飲み残しを小さな容器に入れて置いておくと誘引されるので捕殺できる。ビールで溺死することも多い。ただし、中には酒に強い個体もいて飲み逃げされることがあるため、ビールの中にナメクジ駆除剤や塩を多めに入れておくとよい。(ナメクジがビールに寄ってくるのはビール酵母と麦芽の香りによるものと言われているが、詳しいことはわかっていない。ビール大国であるドイツでは、この習性を利用してナメクジを駆除するのにビールを使うこともあるという。)
- 効果的な駆除方法として、ペットボトルを半分に切り、その中に米ぬかとナメクジ用の粉状の誘殺剤(ナメトックス、ナメキール等)を混ぜたものをいれておく方法がある。ナメクジの出やすいところに仕掛けると簡単に駆除が出来る。
- 銅イオンを忌避する性質があり、銅線・銅板によって少しは防除することができるが、劇的な効果は望めない。
- ナメクジの体表に塩を盛ると水分が抜けて溶けるように見える。これは水分を高張とする、つまり水溶液になって分子間力を生じる(浸透圧が起きる)物質ならば何でもよい。つまり、砂糖や重曹などでも同じような現象が観察できる。死ぬ前に水をかけると原形質復帰により復活するように見える(多くの場合はダメージが大きいために後日には死ぬ)。
その他
- ナメクジの有力な天敵はコウガイビル類という動物であるが、環形動物のヒルの仲間ではなく、扁形動物で陸生のプラナリアの仲間である。
- ハエの仲間では貝類捕食者として有名なヤチバエ科の中に幼虫がナメクジを専門に捕食するものが知られているほか、クロバエ科のイトウコクロバエの幼虫もカタツムリだけでなくナメクジに捕食寄生することがある。クロバエ科やニクバエ科の捕食寄生性の種には宿主が不明なものが多いので、他にもナメクジ寄生性の種が見つかる可能性がある。
- 種類によっては生きたまま丸呑みにすると心臓病や喉などに効くとする民間療法があるが、今日では海外から進入した広東住血線虫などの寄生虫感染の危険があるので避けるべきである。
- 一方で中医学では、蛞蝓(かつゆ)という名称で生薬として使用される。効能は清熱解毒、止咳平喘など。
ナメクジをモチーフとした作品
- 江戸末期の草双紙合巻 (くさぞうしごうかん) 『児雷也豪傑譚』(じらいやごうけつものがたり)には、ガマの妖術使い・児雷也の妻としてナメクジの妖術使いの美女・綱手(つなで)が登場する。彼らは宿敵の大蛇丸(おろちまる)と妖術戦を展開するが、無論これはガマ・ナメクジ・ヘビの「三すくみ」をモチーフにした設定である。
- 『NARUTO -ナルト-』では上記の豪傑譚をモチーフとしたキャラクター綱手が登場する。
- 火星怪獣ナメゴン(『ウルトラQ』、ナメクジ型怪獣)をはじめ、多くのナメクジ型の怪物が考案されている。一つの典型として、それらは大抵塩をかけて退治される。
- ナメック星人(『ドラゴンボール』、ナメクジ型異星人)
- 手塚治虫の『火の鳥・未来編』では、人類滅亡後に長い長い時間を経てナメクジが知能を発達させてナメクジ文明を築き、人類と同じように大量破壊兵器による最終戦争で滅亡する(NHKアニメ版ではカットされた)。
- なめくじ族(アニメ『ケロケロちゃいむ』、擬人化されたナメクジで、超スローテンポで話す。身分が高いナメクジほど話すのが遅い)
- 漫画『落第忍者乱太郎』(尼子騒兵衛作)及びそのアニメ版『忍たま乱太郎』の登場人物の山村喜三太は、たくさんのナメクジを飼育している。
- ウェットルマン(『ケロロ軍曹』、ナメクジをDNA操作して誕生した対夏美用超人戦士でウルトラマンのパロディ。アニメ版では名前が「ウェットルキング」に変更されており、こちらはアイアンキングのパロディ)
- 『ゲノム (漫画)』には雌雄同体な為に女の子が好きなナメクジの女の子のなっちゃんが登場する。
- 『ヤッターマン』の第75話「忍術ジライヤだコロン」では、ドロンボーメカとしてナメクジ型メカ「ナメクジラン」が登場している。ナメクジの柔軟性を取り入れて自由に変形できると謳っている。
- 間寛平のギャグ。「ナメナメクジクジ…ナメクジクジ…」と言いながら地面をはいつくばる。なお「なめくじ君」という名の曲をリリースしている。
ナメクジに関することわざ
- ナメクジに塩 - 不得手なものを前にして、すっかり元気をなくしてしまうという意味で使われる。
外部リンク